「お弁当屋さん、やりたいんだよねえ」と、ベッドの中でマキさんが言った。 マキさんは、普段はスーパーなどに出荷している弁当を工場の流れ作業で作る仕事をしている。しかし、なかなか貯金もできない薄給でもあり、こうして僕のような男とたまに援助交際をして小遣いを稼いでいる女性だ。 だから、僕とマキさんはお金でつながっているビジネスライクな関係である。ただ、僕もマキさんの明太子のような大陰唇と感度のいいだだちゃ豆のようなクリトリスは好きだし、彼女もいくらお金のためとは言え、本当に嫌っていたら僕とこうして何度も寝てくれないと思う。援交以上セフレ未満と言った関係なのだろう。 そんなマキさんが、流れ作業で効率化重視の弁当よりも、手間暇かけてクオリティーを重視した弁当を作って売りたいと言ってきた。まあ、僕がうなるほどお金があれば、金持ちの社長がクラブのホステスに自分の店を持たせてあげるようなパトロンにでもなるところであるが、月2回ほどの援助交際に精いっぱいの僕にそこまで余裕があるわけがない。パトロンとは金持ちだけが許される遊戯だ。 パトロンの意味 「ああ、別にパトロンになってほしいと言うわけじゃないよ」と、お金を無心していると思われたくないっぽいマキさんは否定した。だいたい、自分が本当に作りたい弁当が売れるとは限らないし、売れたとしてもおそらく原価割れで商売として成り立つわけがない、とマキさんはきちんと自己分析をしていた。 「でも、本当にこだわった素材で美味しいお弁当を作りたいって、こんな仕事していると思うのよねえ」と、ため息をつくマキさんに、僕は、だったら一度自分が作りたい弁当を僕に食べさせてほしい、と申し出た。商業ベースに乗れるかどうか、僕がパトロンになるかどうかの判断くらいはさせてほしかったのだ。僕の提案にマキさんは喜んで同意してくれた。 そして今、マキさんは僕の奥さんである。あれから、マキさんが作ってきてくれた弁当を食べた僕は、その味に感動して「僕のためにこの弁当を作ってほしい」とお願いしたのだ。そして、それがプロポーズの言葉だった。ある意味、僕はマキさんの最大のパトロンになったのである。パトロンとは男の悦びである。 口割 プチ援助交際
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